【更新停止】読書会は、参加するより主催するのが楽しいですよ

読書全般と、自宅から参加できるオンライン読書会についてのブログです。

【ノート】100分de名著・for ティーンズ(2018年8月度)

こんにちは。

 8月度の「100分de名著」は「for ティーンズ」として、「子どもたち」に読書の楽しさを伝えるという企画でした。オンエアを見終え、テキストもKindle版で読了しましたので、ここではテキストを中心に感想めいたものを書かせていただこうと思います。

 

 

今月の「指南役」

 今月は各週一冊ずつを、四人の「指南役」が紹介をしてくれました。紹介されたテキストと指南役は、以下の通りです。

・第一週 サン=テグジュペリ星の王子さま』(ヤマザキマリ

・第二週 ローレンツ『ソロモンの指輪』(瀬名秀明

・第三週 太宰治走れメロス』(若松英輔

・第四週 『百人一首』(木ノ下裕一)

 ダントツで面白かったのが、若松英輔さんによる『走れメロス』の解説でした。

 なお、第一・二週は鈴木福さん、第三・四週は鈴木梨央さんが「生徒役」として、またレギュラー司会者の伊集院光さんに代わって齋藤孝さんが出演していました。

 

読書メーターに書いた「感想」

 読書メーターに登録した感想を以下に掲げておきます。

        *        *        *

 「夏休み、子供たちに読書の楽しみを伝える」という姿勢が二重の意味で気に食わない。一つは「子供」といって半人前扱いしているということ、もう一つは「大人」を締め出そうとしていること。▼扱っているのは、『星の王子さま』(ヤマザキマリ)、『ソロモンの指輪』(瀬名秀明)、『走れメロス』(若松英輔)、『百人一首』(木ノ下裕一)。▼圧倒的に面白かったのは、若松さんが「主人公はだれか?」との問いを立てて読んだ『走れメロス』。各登場人物は、読者の心の中に住む存在であり、この作品の主人公は「暴虐な王」とされていた。

 

追記

 少し追記をしておきます。若松さんは、主な登場人物として

・メロス

・友人セリヌンティウス

・暴虐な王

・町の老人

の四人を挙げますが、通常ではメロスが主人公として扱われているところを、敢えて暴虐な王が主人公であるとして読んでみてはどうかと提案しています。それは、その王こそがこの物語を通じて、最も劇的な変貌を遂げた人物だったからです。

 王は極度の人間不信に陥っており、身近な王族や臣下を次々に殺害しています。しかし町の老人は「王は決して乱心はしていない」とメロスに告げます。あとは多くの方がご存知の通りですので、詳しく書くまでもないでしょう。

 物語の当初、猜疑心に満ちていた王ではありますが、最後になってメロスとセリヌンティウスに「私をお前たちの仲間に加えてくれ」と言うまでに変貌を遂げました。

 メロスもセリヌンティウスも、物語の展開している間は、ほぼ一貫した人間として描かれています。しかし、王のみが劇的に変わっている。それこそが、「王が主人公」であるとした「根拠」なのです。

 また、若松さんはこの物語を一層深く味わう方法として、別の視点からの新しい物語、例えばメロスの妹や町の老人を「主人公」として「書いてみる」ことを勧めています。

 最後に、テキストで印象的だった一節を引いて、今回のエントリーを閉じたいと思います。

 人は自分を支えてくれる内なる自分を見出すことができる。読書はその内なる自己を見出す道程でもあります。そうした存在をより一層身近に感じさせてくれるのが「書く」という行為です。人は自分を深く慰め励ます言葉を、自分でつむぐことができるのです。

 

 Kindle版からなので、ページ数を記せなくて申し訳ありません。若松さんがおっしゃっているのは、生を確かなものとするものは、既に自分の中にあって、読書や「書く」ことは、それを見出すための触媒として作用するということではないでしょうか。

 今回は以上です。お読みいただき、ありがとうございました。