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【メモ】100分de名著テキスト『大衆の反逆』(中島岳志)

▼こんばんは。今月2冊めの読了本となった100分de名著テキスト『大衆の反逆』について、読後感を簡単かつ乱暴にまとめておきたいと思います。

 

オルテガ『大衆の反逆』 2019年2月 (100分 de 名著)

オルテガ『大衆の反逆』 2019年2月 (100分 de 名著)

 

 

▼『大衆の反逆』はスペインの思想家でジャーナリストのオルテガ・イ・ガゼットによって1929年に著されました。当時のヨーロッパは、ファシズム共産主義革命とが、「大衆」の勃興を背景にして受け入れられつつあった、いわば「危機の時代」でした。

▼ここでいう大衆とは、階級的な概念ではありません。むしろその「精神」の問題であったと言えます。つまり、人々は寄って立っていたトポス(居場所)を失い、根無し草的な存在となってしまう。また他人と同じであることに喜びを見出すようになっていくといった点が指摘されています。

▼またオルテガは、専門家こそが大衆の典型であると鋭く批判しています。自分の専門分野以外についてはほとんど無知であるにも関わらず、自分の能力を過信している人たちが「専門家」であるとされていました。

▼こうした大衆という存在に対置されるのが、貴族的精神を持った人々であるとされています。「他者と共存しようとする冷静さ、あるいは寛容」の精神を持ち合わせた人々こそが、貴族的精神の持ち主であるとされていたのです。

▼いま私は、オンライン読書会のテキストとして齋藤孝さんの『読書力』(岩波新書)も並行して読んでいるのですが、この第Ⅰ章が「自分をつくる――自己形成としての読書」です。ここで触れられていることが共振し合うのではないかと思い、ご紹介させていただきたいと思います。

▼この『読書力』での章で自己形成として目指されているような自己とはどういうものなのかについて考えてみると、それは複雑さに耐え、矛盾に引き裂かれず、単純さやわかりやすさに逃げ込まない強くしなやかな精神といった点が挙げられるように思われます。

▼これはまさに、オルテガが指摘した貴族的な精神そのものなのではないかと思うのです。つまり本を読む、本を深く読み、向上心を手放さないということは、ポピュリズムに堕してしまいかねない危険な大衆化に抗しうる、少なくともその端緒にはついているのと言えるのではないでしょうか。

▼ちょっとした思いつきですが、そのまま書かせていただきました。お目汚しになっていなければ幸いです。