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若松英輔さんの河合隼雄論、単行書が待ち遠しい

 こんにちは。

 ここ1~2年ほど愛読している若松英輔さんですが、その近著である『常世の花 石牟礼道子』を読み始めました。いま、全体の半分程度を読み終えたところです。

 

常世の花 石牟礼道子

常世の花 石牟礼道子

 

 

 この本は、2018年2月に石牟礼道子が亡くなったことを受けて編まれたものと思われます。あとがきに書いてあるのでしょうが、まだ読んでいません。

 若松さんの問題意識は、石牟礼のそれ、つまり「言葉を奪われた者たち」の言葉を自分の身体を通じて(あるいは「使って」)世に刻むという点において近接しています。むしろ、石牟礼の問題意識の求心力に、若松さんが影響されたと言ってもいいのではないかと思っています。

 その若松さん、現在は河合隼雄についての連載を『群像』誌上で行っています。いずれ単行書としてまとまるだろうと思いますが、とても待ち遠しい。

 いままで若松さんは、内村鑑三神谷美恵子小林秀雄井筒俊彦池田晶子などについても、その人と業績について世に問うてきました。このうち、ハンセン病によって自ら語ること、沈黙を強いられた者に寄り添った神谷と、水俣病で同じく言葉を奪われた者に代わって言葉を紡いだ石牟礼とが、若松さんの中で響き合っています。

 その若松さんが、河合に向かったことは、ある種の必然に導かれてのことであったと思います。なんとなれば、河合もまた、「語らぬ者」「語り得ぬもの」に寄り添い、その代弁者として発信を続けてきた一人であると、私は思うからです。

 人が心を病むということ、そして癒えるということの「凄まじさ」が河合の著作には横溢しています。最近『魂にメスはいらない』(谷川俊太郎との共著)を読む機会がありましたが、そのことを痛切に感じました。

 

魂にメスはいらない ユング心理学講義 (講談社+α文庫)

魂にメスはいらない ユング心理学講義 (講談社+α文庫)

 

 

 この本の出版は1979年といいますから、40年も前のことです。若干記述が古びているところ(性指向をめぐってなど)がありますが、今もなお読まれていい本だと思います。

 河合が志向した、無意識への接近を通じたクライアントの回復もまた、クライアントの中の「語らぬ者」「語り得ぬもの」の言葉をすくい取ろうとした試みであったように私には思えます。

 こうして若松さんの中で、神谷。石牟礼にも連なる者として、河合が位置づけられたのではないかとも思うのですが、いかがでしょうか。連載が単行書としてまとめられることが待ち遠しいです。

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今回は以上です。お読みいただき、ありがとうございました。